北国の蟠桃栽培で春に行うお世話について(2020年4月~5月)
この記事では、北海道での蟠桃(ばんとう)栽培で、毎年春に行うお世話について書いています。私と蟠桃の出会いについては、下の記事で紹介しています↴ 2019年9月8日の出来事 孫悟空の桃、蟠桃(ばんとう)を収穫しました 私の育てている蟠桃(ばんとう)という桃の実が収穫できたのでご紹介します。 蟠桃の実↴ とても良い香りです。 味は甘さ、ミルキー感 ...
2019年9月8日 孫悟空の桃「蟠桃」収穫しました!
うちの蟠桃をご紹介
このブログで紹介している蟠桃は、2012年4月にインターネットで購入しました。購入当時は2年木でしたので現在は10年経っている状況です。当初は2本購入し、1本は3年ほど前に人に譲りました。購入時よりずっと、住宅の関係で鉢植えで管理しています。ほぼ毎年、3個~5個ほど果実の収穫ができています。
|
冬囲いを外す(2020年4月17日)
私の住んでいる地域は北海道です。
大体、11月下旬から雪が降り、雪解けは3月から4月にかけてです。
冬期間の日中の気温はマイナス4度前後、
夜間や寒い日はマイナス10度を下回る事があります。
雪は降りますが、現在の私の住まいの環境では、積雪は蟠桃栽培にあまり影響していません。
蟠桃の適正栽培環境をインターネット上で検索してみても、
蟠桃の栽培の頻度が少ない為か、あまり情報がないのですが、
一般的な桃の生育適温は平均9度以上で、寒さに対しては-15℃ほどは耐えるそうです。
ここの環境では、真冬の一番寒い時期は桃の耐寒温度ぎりぎりになってしまう事もあるので、
毎年冬の前には低温対策を行います。
下の写真は、去年の冬に行った冬支度です。
まず、木に保温シートを巻き、ビニールで覆っています↴
次に鉢植えの部分にも保温シートを巻いてビニールで覆いました↴
さらにブルーシートをかけて完成です↴
この状態で、去年12月~今年4月まで保管していました。
今年は3月頃から雪が解けて、4月になり夜間の気温もマイナスにならなくなってきたので、
4月17日(2020年)に冬囲いを外しました。
もうピンクの花芽が膨らんでいます。
冬囲いの下で、頑張って寒さに耐えて蕾を育てていたと思うと褒めてあげたいです。
約1週間後の4月25日の蕾はこのような感じです↴
少し膨らんで蕾全体が大きくなりました。
春先の低温対策
北海道の4月~5月は時々、突然冬に戻ったかのように寒い日があります。
昨日は夕方に雪が降りました。みんなもう夏タイヤなので焦ります。
今日(4月25日)も風がとても強くて、気温は1度前後だった為、
蕾を低温と強風から守るために、臨時でビニール保護しました。
このような感じです↴
細かい部分はラップで保護しました↴
翌日も雨が降って気温も低かったので、ビニール保護はそのまま継続しました。
4月27日にビニールをはずした状態がこちらです↴
ビニール保護によって暖かかったのか、蕾が急に膨らんでいました。
さらに3日後(4月30日)は、ほぼ満開です↴
この低温の時の管理をさぼると、毎年花が落ちてしまっていたので、
結実までは特に気温と強風対策には気を付けています。
カイガラムシ対策と肥料
毎年、冬囲いを外したら、カイガラムシの対策も行っています。
カイガラムシが付くと、枝が白いもやもやに覆われてきます。
これはカイガラムシの排泄物や分泌液で、
植物から摂取した糖分が大量に含まれているので、
この糖分を栄養分として「すす病菌」が繁殖することですす病を発症します。
また、排泄物の糖分を求めてアリやアブラムシも寄って来る為、木の健康に良くありません。
カイガラムシの付いた枝はこのような感じです↴
白い小さな丸い斑点のように見えるのがカイガラムシの雌です。
文字通り貝のようにしっかり枝に張り付いています。
この白く見える雌はほとんど動かないのですが、
雄は羽虫の形態で飛んできて雌と交尾して繁殖するのだそうです。
虫に悪意はないとは思いますが、大切な桃の為に駆除しなくてはなりません。
とにかく、雌を見つけたら歯ブラシなどでこすって落とします。
さらに、「ニームガルテン」という天然の害虫忌避剤を使用しています。
以前は、市販のカイガラムシ用の農薬を散布していたのですが、
あまり効果がなく、毎年再発してしまうので、
果実を食べる事でもありますし、続けて農薬を使用するのは木にも環境にも良くないと思い、
この数年は天然成分の「ニームガルテン」を使用しています。
ハダニが付いてしまった時も使用していました。
適量を水で薄めて、霧吹きで散布するタイプです。
|
桃の土への肥料は、天然の素材から作られた「バットグアノ」というものを使っています。
桃は、肥料の配合や与えすぎでも木の負担になり枯れてしまう事があるそうです。
この「バットグアノ」は蝙蝠の排泄物が長い年月を経って堆肥として処理された肥料で、
植物に与えすぎても害がないそうなので、8年ほど前から使っています。
|
「バットグアノ」は天然素材で安心ではあるのですが、
肥料としての効果の即効性は少ないようなので、定期的に散布する必要があります。
他には、私は「土母(どうも)」という液体の栄養剤を併用しています。
「土母(どうも)」という肥料は、100%自然素材の光合成細菌体からできていて、
適量を水で薄めて使用するものです。
土に与えて栄養剤として使う他、薄めたものを葉に散布すると葉が丈夫になるそうです。
木の元気がない時や夏の生育時期、収穫後の木のケアに与えています。
|
さらに、鉢植えでの管理のため、鉢植えの土に発生するナメクジや、コバエの対策として、
ニーム配合の天然素材の害虫忌避剤を定期的に使用しています。
|
人工授粉
花が咲き始めてきたら、授粉作業も行います。
園芸のサイトなどでは、人工授粉の方法として、
綿棒で雄しべから花粉を取り、雌しべに付ける方法が紹介されていました。
うちは、蟠桃は1本しかなく花数も多くないので、
じかに雄しべを採取して雌しべに付ける方法で授粉させています。
これは雄しべを採取したところです↴
黄色い綿帽子のようになっている部分が花粉です。
花の中央部分にある、雌しべの先に付けていきます↴
桃は、同じ木の花粉では結実しない事もあるそうなので、
もう一つ「大久保」という品種の桃の同時に栽培しています。
「大久保」の花も満開です↴
上の写真の手前が「大久保」奥にあるのが「蟠桃」です。
念のため、大久保の花粉も取って蟠桃に授粉させました。
今年は、4月28日頃から数日かけて花の状態を見ながら行いました。
実の数の調整
人工授粉から18日後の5月14日の状態です↴
花びらの部分が散って、葉が伸びてきています。
花びらの根元の部分が丸く膨らんでいるのは、これから果実になる部分です↴
5月22日の状態です↴根元に果実の膨らみが見えてきています。
5月30日にはさらに実が大きくなりました↴順調です。
うちの蟠桃の実は、理由はわからないのですが、
毎年結実から1週間ほどで、約半数が自然に落ちてしまいます。
その為、蟠桃の摘果は積極的には行わず、自然に残った実を育てるようにしています。
自然に落ちた実↴
今年は、たくさん結実はしましたが、その分たくさん落ちてしまったので、
現在は1本の木に6個ほどしか実が残っていません。
この枝が一番多く実が残っている部分です↴
この部分は数日以内に、「袋掛け」を行っていこうと思います。
桃の摘果の方法
一般的には、桃の摘果について、残す実の条件として以下のように言われています。
①枝の中央にある実
②枝の下側についている実
③発育が良い実
上の写真は「大久保」の枝です。
この枝には、先端の下向きの実、中央の上向きの実、幹寄りの中央の下向きの実、
が付いています。
ここで残すのは、幹寄りの中央の下向きの実が良いと思います。
先端と中央の上向きの実は、もうしばらく残す実の発育を見てから、
摘果していこうと思います。
地植えであれば気にしなくてもいいと思いますが、
鉢植えの栽培の場合、1本の枝に残す実は1~2個くらいが適していると思います。
次の「袋掛け」作業から夏のお世話のページでご紹介していきます。