中国琵琶の歴史

中国琵琶の歴史 2 ~唐の時代の発展と改革から近代の変化

中国琵琶の唐の時代の発展と近代にかけての変化

この記事では、唐の時代から近代までの中国琵琶の発展と、
楽器の演奏方法の変化についてまとめています。
唐の時代より前の中国琵琶の歴史については下のページにまとめました↴

唐の時代~中国琵琶が最も流行し発展した時期

唐の時代(618年~)は中国琵琶の歴史上最も流行し発展した時代だと言われます。
唐の時代の中国は外国との交流が非常に盛んでした。
とくに首都である長安には外国から文化や学問を学ぶ学生や、芸人、商人など
たくさんの人々が集まり、外国から異文化や芸能、品物なども流入し
中国の文化と融合していきました。
また、中国琵琶についても独奏曲や合奏曲など、外国文化の影響を吸収しながら
多くの楽曲が作られました。
この時代、宮廷では「燕楽」と言われる宴席での饗宴楽が盛んで、
それがさらに中国琵琶の発展を後押しします。
燕楽は日本にも伝わり、日本では雅楽の原型となっていきます。

中国琵琶の変革と発展

唐の時代に宮廷文化や民間の芸能とともに発展した中国琵琶は、
その後も改良を繰り返し、楽器の素材や演奏方法も変化していきます。
最も大きかった変化は、楽器を演奏する時、
横に抱えるようにして持っていた楽器を、縦にして持つようになったことと、
撥(ばち)ではなく指で弾いて弾くようになったことです。

縦に抱えることで、フレット間の移動が速くなり、より速い曲を弾くこともでき、
撥から指ではじく奏法となったことで、表現力が豊かになりました。

もともとはシルクロードを渡る楽師達が馬やラクダの上で弾くために、
中国琵琶は横にして演奏されていました。
中国琵琶
上の写真は、奈良時代に唐から日本に伝来した、
正倉院の「螺鈿紫檀五絃琵琶」の図案です。
ラクダの上で、楽器を横にして弾いています。

中国琵琶を現在のように縦にして抱えるようになった時期については
明の時代から(1368年~)と言われますが、明代より前の西夏時代の壁画にも、
楽器を縦にして持っている飛天が描かれています。
下の写真は楡林窟の琵琶飛天(西夏時代1038年~)↴
中国琵琶飛天
これは、中国琵琶の改良や奏法の変化は、時代の中で緩やかに行われて行った
ということの表れではないかと思います。

中国琵琶 清の時代~近代の変化

(1616年~)の時代に入ると楽器の素材や奏法は、
現在の中国琵琶とほとんど同じになります。
音階や楽譜の表記方法、調弦の音程も整理され、フレットの数も増えて、
笛子や古筝、二胡、揚琴など合奏する他の中国伝統楽器との統一性も生まれます。
しかし、まだこの時点では、楽器はまっすぐ正面を向けられて構えられていました。
現在の中国琵琶は、流派によって多少の違いはあるかも知れませんが、
楽器を抱えた時の奏者の体と楽器の角度が斜め45度くらいになるようにして
持つのが基本形となっています。

正面をむけて持つ↴        斜め45度にして持つ↴
中国琵琶古代の写真   

この演奏する時の楽器の持ち方の角度が変化することになったきっかけですが、
当時上海で人気があり、著名な国楽楽団である「大同楽会」という
民族音楽隊が演奏する時に、1920~1930年頃琵琶を斜め45度に傾けて構えるという
スタイルを採用したそうです。
それより、さらに左手の複雑な動作が可能になり、
フレット間を移動する動きも早くなりました。
この動作の効率化は、作曲される琵琶の曲や演奏表現に大きな影響を与えました。
古代から近代まで長い悠久の時を経て、
1949年に中国が中華人民共和国となるのですが、
今年2019年となった現在も、中国琵琶の新しい技法や楽器の改良が進んでいます。
例えば、数年前に比べてフレットの数が増えていたり、
アンプにつなぐタイプのエレクトリック中国琵琶も作られています。
最近では立って演奏する演出も行われるようになっており、
中国琵琶は悠久の古代の歴史の中でも改良を繰り返してきましたが、
今もとどまることなく進化し続けているようです。

中国琵琶の歴史2 (唐の時代~近代) のまとめ

中国琵琶は、長い歴史の中で時代にあわせて楽器の改良が繰り返され
奏法や表現力も変化していきました。
それとは対照的に、日本の琵琶は遣隋使や遣唐使によって中国から日本に伝えた後
楽器の基本的な形や奏法は長い歴史の中でもほとんど変わることなく、
原型に近い形で受け継がれて伝えられてきました。

私が中国の音楽学院に留学した時、師匠の劉先生からも
「中国の琵琶は変化することで発展してきたが、
日本の琵琶は古代の姿のままとどまっていることが特徴的だ」
と教わりました。

また、私は演奏をする時など、お客様から
中国の琵琶は日本の琵琶と全然違うんですね」と言われることがあります。
たしかに、お客様には、見た目や音色について日本の琵琶と中国琵琶が
「全然違う楽器」のように感じられるのだと思います。
中国琵琶と日本の琵琶はルーツは同じですが、
現在では音色も奏法も異なったものとなってしまった結果
まるで違う楽器のような印象となりました。

現代の中国琵琶の音色については下の記事に参考動画があります。


中国琵琶の写真
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