2019年9月8日の出来事 孫悟空の桃、蟠桃(ばんとう)を収穫しました
私の育てている蟠桃(ばんとう)という桃の実が収穫できたのでご紹介します。
蟠桃の実↴
とても良い香りです。
味は甘さ、ミルキー感、フルーティー感を併せ持っていて、コクもあります。
普通の桃より味が濃い印象です。
蟠桃との出会い
私がはじめて蟠桃(ばんとう)と出会ったのは2001年夏の北京でした。
この時は、中国留学の為の、瀋陽音楽学院の劉教授にご挨拶と、楽器の手配や学校の手続きなどの確認をしに行き、帰りに瀋陽から北京まで足をのばして観光や京劇を鑑賞しました。
夕方周辺の散策に行くと、宿泊したホテルの近くの路上で、地面に敷いたゴザだったか板のような物の上に載せた、竹で編んだカゴに入って売られていた珍しい果物を見つけました。
色は桃と同じですが、全体に小ぶりで平たい形で、日本では見たことのない果物でした。少し花びらのようにも見える不規則な外観で、「なんという果物ですか?」と売っている人に聞くと、「桃」とそっけなく教えてくれました。
値段は忘れてしまいましたが、10個入って日本円で300円以下だったとは思います。
当時はあまり中国語がわからなかったので、相場よりは多く払ったかもしれません。その時一緒にいた二胡を習っていたお友達と半分ずつ出し合って購入しました。
ホテルに戻り、さて食べてみようとなって、洗面所に持って行って桃を洗った時に、その桃の一つの、枝のくぼみ部分から、突然でした、何かくねくねしたものが跳ね上がるように飛び出してきました。
大きな青虫のような虫で茶色い色だったので、小型のへびかと思ったほどでした。びっくりしてお友達と2人で悲鳴をあげたことは、今でも鮮明に覚えています。
その後、その虫は勢い良く排水溝の中に水流と共に消えてしまったので、実際には数秒しか見ていませんが、心臓が飛び出すくらいの驚きと、ショックで洗面所に座り込んでしまいました。
その後、気持ちが落ち着いてから、再度注意しながら蟠桃を洗って、皮をむいて、ひとくち食べて以来、あまりのおいしさと良い香りに、一瞬にして蟠桃の大ファンとなってしまいました。
あまりに好きになりすぎて、留学から帰国後に、蟠桃の苗を購入し自宅で育てることにしました。
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うちの蟠桃
これは数年前に写した、うちの蟠桃の花の写真です↴
これは、まだ小さいですが青い時の実の状態です↴
下の写真の丸い実の桃は蟠桃ではなくて、蟠桃と平行して育てている
「大久保」という日本の品種の桃です↴
桃は、違う株からの花粉を授粉した方が良い実がなると聞いた事があり、蟠桃と大久保を同時に育てることにしました。
蟠桃は、季節の変化に敏感で、きちんと管理しないと、時には実をつけてくれない時もありますが、大久保は非常に丈夫で、どんな過酷な気候条件となっても、平均10個ほどは実をつけてくれます。毎年、実が出来るととても嬉しく、感動してしまいます。
孫悟空の桃
蟠桃(ばんとう)は、「西遊記」にも登場します。西王母が所有する蟠桃園の管理人に任命された孫悟空(そんごくう)ですが、蟠桃会のために用意された蟠桃をひとりで全部食べてしまいます。
そしてさまざまな試練を経験し神通力を身に着け、不老不死の身となりました。物語の中では、蟠桃は不老不死の果物とされています。
さらに、「西遊記」の中に、猪八戒(ちょはっかい)という登場人物がいますが、もとは天帝の家臣で、天の川の水軍大将であった天蓬元帥(てんぽうげんすい)と呼ばれていました。
その「天蓬元帥」が西王母の蟠桃会で、お酒に酔った勢いで、嫦娥(じょうが) という月の世界の天女にたわむれて、罰として地上に落とされ、妖怪となるエピソードがあります。地上に落とされてから三蔵法師から「猪八戒」と名付けられて西遊記の旅に登場します。
「嫦娥(じょうが)」というは、中国の古代の伝説上の人物で、月に住む仙女なのですが、夫が西王母からもらい受けた不死の薬を盗んで、自分だけ飲んで不老不死となり、月に入ったと言われます。
日本の『竹取物語』にも不死の薬というのが出てきますが、この「嫦娥(じょうが)」の伝説から影響を受けたという説があります。
現代の中国の月探査、嫦娥計画の嫦娥(じょうが)というのは、月と関連性の深い背景でのネーミングなのです。
下の写真は「嫦娥奔天」という題の版画です。ある美術館での展示を見ていた時に、係り員の方が「写真を撮っても良いですよ」と言ってくれたので写した写真です。 北国の蟠桃栽培で春に行うお世話について(2020年4月~5月) この記事では、北海道での蟠桃(ばんとう)栽培で、毎年春に行うお世話について書いています。私と蟠桃の出会いについては、下の記事で紹介してい ...
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