中国琵琶の歴史

中国琵琶の歴史 1 (馬上の楽器から宮廷へ)

中国琵琶の歴史と日本への伝来

みんが です。
この記事では、中国琵琶の名前の由来、
西域で誕生した中国琵琶が中国から日本まで伝わった流れ、
音楽以外にも、日本の文化や文学にも影響を与えていたことなど
をまとめています。

中国琵琶の名前の由来

中国琵琶は中国語でも日本語の漢字と同じく「琵琶」と書きます。
中国で「琵琶」と書くと、もちろん中国琵琶の事を示すのですが、
日本で「琵琶」と書くと、日本の琵琶を示す事が多いので、
このサイトでは中国の琵琶のことを示す時は「中国琵琶」と記載しています。
ですが、実際の中国では中国の琵琶のことは中国琵琶とは呼ばず、
「琵琶(pipa)」と呼んでいます。
中国語の読み方の発音は pipa=ぴーぱ です。

この楽器がなぜ琵琶(pipa)と呼ばれるようになったかは諸説あるようですが、
琵(pi)と、琶(pa)は、それぞれの演奏方法の名称で、
右手で外側に弦をはじく奏法を「琵(pi)」
右手で内側に弦をはじく奏法を「琶(pa)」
と言ったことから「琵琶(pipa)」と呼ばれるようになったそうです。

現代の中国琵琶は、右手の指に付け爪をつけて指で弦を弾きますが、
古代の琵琶は、主に撥(バチ)を使って演奏されていました。

紀元前200年頃の中国の書物の記録の中にはすでに「琵琶」という文字が登場しています。
始皇帝が即位したのが紀元前221年です。
古代の琵琶は初めの頃には「ビワ」という発音が同じ漢字の
「批杷」という漢字が使用されていましたが、
魏普の時代に、「琴」「瑟」などの弦を弾いて演奏する楽器の名前にあわせて、
「批杷」の左の偏を取り払い、王という字を上に2つ加えて
「琵琶」と書かれるようになりました。

中国琵琶の伝来は西から東へ

中国琵琶は、当時は西域と呼ばれていたペルシャの周辺地方からシルクロードを通って
西から東へと移動してきました。
西域からまずインドへ渡り、インドから中国へ4世紀頃に伝えられたと言われています。
その後、遣隋使遣唐使と呼ばれた当時の外交使節団の人々によって、
中国から海のシルクロードを渡り日本へも伝わりました。
正倉院にある螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)は
聖武天皇(701~756)の遺品で、現存する世界に一つの五絃琵琶です。
シルクロードの旅を思わせるラクダの上で、琵琶を弾く楽師の姿が装飾されています↴
螺鈿紫檀の五絃琵琶中国琵琶

馬上の楽器から宮廷の楽器へ

螺鈿紫檀五絃琵琶に描かれている琵琶を弾く楽師の図柄を見ると、
古代の琵琶は、横に抱えて撥で演奏していたことがわかります。
西から東へと琵琶を伝えたのはシルクロードを旅する楽師達でしたが、
ラクダや馬の背の上でも安定して演奏ができるように、
楽器は横にして抱えるように演奏されていました。
他にも壁画や出土品などから、琵琶は横にして撥で演奏していたことがうかがえます。

中国の古代のお墓から出土した像(隋の時代589年~)↴
中国琵琶

敦煌莫高窟の壁画(唐の時代618年~)↴
中国琵琶

琵琶がインドから中国へ伝わった後、中国の宮廷音楽の中に取り入れられると、
徐々に演奏方法にも変化が生じていきます。
また、弾き方や持ち方だけの変化だけではなく、
中国の宮廷文化や外国から中国に集まってきた異国の文化とも融合して、
新しい曲もたくさん作られ発展していきます。

唐の時代の玄宗皇帝の寵妃であり、
容姿が大変美しかったことで有名な楊貴妃
中国琵琶の演奏や宮廷音楽にあわせて舞を舞うことに優れていたそうです。
中国琵琶の曲に「小霓裳」という曲がありますが、
玄宗皇帝が楊貴妃の為に作らせた曲で、
特に楊貴妃はこの曲で舞を舞うのが得意だったと言われています。
「小霓裳」の抜粋を演奏した動画はこちらのページにあります↴

他にも唐代には白居易という詩人が「琵琶行」という長い詩を書いています。
白居易の詩の中で「長恨歌」という玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を書いた長編の詩は、
日本にも伝わり紫式部の「源氏物語」にも影響を与えました。

中国琵琶の歴史 1(古代)のまとめ

古代の中国琵琶は西域を起源とし、シルクロードを通りインドから中国へ伝わり、
隋や唐の時代に中国と日本の文化交流の繰り返しの中で海を越えて日本へも伝わりました。
現在の日本の琵琶と、中国の琵琶は元をたどれば同じルーツを持っています。
しかし、長い歴史の中で、中国では時代と共に楽器の形や演奏方法などが変化し改良され、
日本の琵琶は、中国とは対照的に、ほとんど原型に近い形で残されてきたので、
同じルーツであるにも関わらず、現在は音色や奏法などまるで違う楽器のようになりました。

中国琵琶が最も流行し、発展と変革がおこなわれたのが唐の時代です。


中国琵琶の写真
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