楽器について

中国琵琶の弦を張り替える方法

この記事では、中国琵琶の弦を張り替える時の手順と注意点について説明します。

楽器の構造と弦を張る場所について

楽器の各部分の名称は、下の写真を参照して下さい。中国琵琶の弦を張る時は、⑧覆手の部分で固定して、②琴軸まで伸ばして張り、弦の先を琴軸の穴に入れて固定し、琴軸に巻き付けた後、琴軸を回して調弦します。
中国琵琶の構造の写真
各弦は、太さがすべて違い、張る位置もそれぞれ決まっています。詳しい方法について順番に説明していきます。

楽器の構造についての説明は、下の記事にあります↴

使用する弦について

中国琵琶の弦は4本です。それぞれ違う太さの弦を張ります。
弦の種類は、大まかに、鋼絲弦と呼ばれるスチールのままものと、ナイロン鋼縄弦と呼ばれるスチール弦の周りにナイロンのコーティングをしたものに区別されます。
弦の種類と特徴について、詳しくは下の記事を参考にして下さい↴

私は、4弦,3弦,2弦はナイロン鋼縄弦を使っています↴
中国琵琶の弦

1弦は鋼絲弦を使用しています↴
中国琵琶の弦
この記事では、この弦の組み合わせで説明していきます。

弦を張る位置と弦の太さ

弦は4本それぞれ太さが違います。張る場所も決まっています。
1弦=一番細い。
2弦=1弦より少し太い。
3弦=2弦より少し太い。
4弦=一番太い。
中国琵琶弦の名称
上の写真は覆手の部分と弦を通す穴です。向かって右が1弦で一番細く、左に向かっていくうちに太くなります。覆手に通した弦を巻き付ける琴軸の位置は下の写真の通りです。
中国琵琶琴軸

楽器に弦を張る手順

①覆手に弦を固定する
(弦を袋から出す前に、どこに張る弦の記号なのか袋の表記を確認しておきます。多くの中国琵琶の弦は、保存の為にリング状に丸めて袋に入っているので、弦を袋から出したら、折らないように気を付けてほどきます。)初めに、弦の先端が輪になっている側を覆手の穴に差し込みます。
中国琵琶覆手
弦の先端の輪になっている部分が覆手の上に出たところで反対側の端(まっすぐな方の先端)を輪に通します。通した弦は、途中で折り曲げないように注意しながら琴軸の方(上の方)へ伸ばしていきます。
中国琵琶覆手

②山口のみぞに弦を合わせ琴軸の穴に通す
弦のまっすぐな方の先端が山口の部分まで来たら、山口の溝に弦を合わせながら、手前側から奥へと琴軸の穴に弦の先端を差し込みます。先端が1~2㎝ほど琴軸の穴から出ているようにします。
中国琵琶の山口中国琵琶琴軸

③弦を琴軸に巻きつける
1~2㎝出してある弦の先端部分を、巻いていく弦で琴軸に押さえつけながら、琴軸をまわして弦のたるみを巻き取っていきます。
中国琵琶山口
弦を巻き付ける方向は、琴軸を前面側に回すと弦はゆるみ、後面側に回すときつく張るように巻いていきます。その時に強く張りすぎて弦を切ってしまわないように、ゆっくりと弦のたるみがなくなるまで巻き付けます。たるみがなくなったら、調弦の手順にうつり弦の巻き具合を調整します。
中国琵琶調弦

中国琵琶の弦の張り方の補足とまとめ

中国琵琶の弦はあまり自然に切れることはないと思いますが、もし、本番直前などに切れてしまった場合は焦ってしまうので、いつでも落ち着いて張り替えられるように、普段から交換作業に慣れておく事も必要です。
また、交換用の弦も1セットは予備として携帯すると良いです。

 

弦を張り替える時期の基準は明確には決まっていないのですが、切れない限り私は2年ほど使用しています。弦は短い期間で新しく張り替えるよりも、ある程度の期間使ってからの方が、音程が安定し音質も良いようです。張り替えた直後は、弦がまだ安定していないので調弦が狂いやすく、音質も響かない傾向があります。私の師匠は、「(弦を使い込んで)切れる前が一番音が良い」と言っていました。

ただ、あまり長期間交換しないと、やはり摩耗で演奏中に切れてしまう恐れがあります。大切な演奏会やコンクールなどがある場合など、数か月前には日程は出ていると思うので、弦の交換をする場合は、最低でも本番の2か月前には作業を済ませておくと良いと思います。

中国琵琶の写真
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中国琵琶(pipa)をご紹介します! 私は、2001年~2003年まで中国瀋陽音楽学院に留学し、 民族器楽科の劉剛氏から中国の伝統楽器である中国琵琶を学びました。 日本に帰国した後は中国琵琶の演奏と講 ...

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